続・カワスイ新社長がクルーと一緒にカワスイツアーしたらとんでもないことになった。
〜前回までのあらすじ〜
7月からカワスイの新会社の代表になったことをきっかけにブログを開設した長谷川。
ブログ第一弾の企画として「長谷川とまーくんのわくわくカワスイツアー」を実施し、ベテラン飼育クルーのまーくんと仲睦まじく館内の紹介をしていく。
しかし、長谷川のとある一言で事態は一変。
まーくんの笑顔は消え、その場を立ち去ってしまう。
気まずい空気が流れる中、どこからともなく長谷川の名前を呼ぶ声が…。
前回の内容を見たい方はこちらからご覧いただけます。
???:
ハ…ハセ…ハセガワ…サン…
長谷川:
!?
???:
…聞こえますか… 長谷川…長谷川さん ……聞こえますか…ボデーガです…私はボデーガ。 …いま… あなたの心に…直接…語りかけています… 聞こえますか… … …ボデーガは物置きではありません…売店です……今は無期限休業中ですがきっとまた輝けるチャンスはあるはず …撤去を考えるのは今すぐやめてください… 撤去は… 撤去は…やめて……ボデーガは…まだ輝きたいのです… …
長谷川:
!!?!?!!??
ボデーガ?がぼくの脳内に直接語りかけて来ている…!?
ボデーガ:
そうです…ボデーガです…私はボデーガ。
2020年のカワスイ開業と同時に館内にオープンした売店です……水面をイメージした白いテントが目印のワゴン式の売店です…店名の「ボデーガ」はアマゾンで親しまれている「売店」を意味します…水族館鑑賞の合間に立ち寄っていただく休憩所のような役割を目指し営業をしていました…
ボデーガ:
しかし…今年の3月…惜しまれつつも…無期限休業に入ったのです…
今ではボデーガの話をすると呪われるという都市伝説が流れる始末…
お願いです…私にもう一度輝くチャンスをください…。
長谷川:
(あーなるほど。そんな都市伝説が…だからまーくん何も話したがらなかったのか)
うーーーーん。
お話はよく分かりました。
でも無期限休業することになってしまったのには何か理由があるわけですよね?
先ほど「惜しまれつつも閉店」っておっしゃられましたけど、本当ですか?
それってあなたの主観入ってません?
「もう一度輝きたい」というお気持ちもよく分かるんですが、そのための分析・研究って何かされました?
ボデーガ:
いえ…そこまでは…
長谷川:
それじゃお話にならないというか、会議で言うと議題にも上がらないレベルですよね。
つまり今ボデーガさんの中には現状を打破する策も武器も何もなく、ご自身のお気持ちだけでぼくに話しかけてきたということですよね。
ボデーガ:
……えっ…。
長谷川:
こういうのってお気持ちだけではどうにもならないというか、今のお話だけを聞いて経営者として到底イエスとは言えないですね。
なんだろう、もう少し戦える準備をして来てもらって良いですか?
ボデーガ:
(えっ…この人初手からめちゃ詰めてくるやん…。)
……わかりました…。
ー1か月後ー
長谷川:~🎵
ボデーガ:
長谷川さん。
長谷川:
うわ。びっくりした。
普通に話しかけてくるのやめてもらえます?
ボデーガ:
…驚かせてしまってすみません。
あの話、覚えてますか?
長谷川:
あー。もう一度輝きたいって話ですよね。覚えてますけど。どうしました?
ボデーガ:
立ち話もなんですし、お掛けください。
長谷川:
「立ち話もなんですし」ってぼくが言う方じゃないですか?
まあ座りますけど…。で、どうしたんです?
ボデーガ:
私…あれから色々考えたんです。
考えて考えた結果…
私、ECサイトになろうと思って…!
長谷川:
はい?ECサイト??
ボデーガ:
そうです。ECサイトです。
売店ボデーガを転生させて、カワスイオンラインショップ「BODEGA」を新たにオープンするんです!
長谷川:
なんでまたECサイト??
ボデーガ:
カワスイがオープンしたのは今から2年前…。そう、ちょうど世界中でコロナが流行り出し、日本でも緊急事態宣言が出たりしていた時期でしたよね…。
そして今でもコロナの流行はとどまることを知らず、思うように外出が出来ない方も多いのではないでしょうか…。でもそんな方々の中にもカワスイに興味を持って行きたいとは思って下さっている、けれどもコロナが怖くて行けないと葛藤されている方もきっといるはず。そんな方にも安心してカワスイを楽しんでいただきたくて、その一つの手段がECサイトなんじゃないかと思って…。
プレゼン資料も作ってきました!見てください!
ちなみに、9Fのカワスイオフィシャルショップって、実は面白い商品がたくさんあるのを長谷川さんはご存じでしたか??
長谷川:
(なんだこのプレゼン資料は...正気なのか...?まぁいいか…とりあえず聞こう。)
えーと、なんか店頭に変わったキーホルダーが並んでいるのとか、バックヤードにトリッキーなぬいぐるみが置いてあるのは見たことがあります。
こんなのとか
こんなのとか。なんだこれは。
ボデーガ:
そうなんです。カワスイ9Fのオフィシャルショップではクルーが選ぶ一風変わった商品が買えるのも魅力のひとつ…!
オンラインショップ「BODEGA」ではその魅力を活かして、クルーをはじめ、館長・副館長がおすすめする商品を買えるようにしたいんです!
ちなみにECサイトで売れ行きが良かった商品はカワスイ9Fオフィシャルショップで買えるようにするなど、テストマーケティングの要素も取り入れようかと思っています。
長谷川:
ほうほう。それは悪くないですね。
ボデーガ:
(いけるか…?)
長谷川:
プレゼンありがとうございます。今のお話を聞いて気になったんですが、ECサイトやってる水族館って他にいっぱいありますよね?彼らとはどう戦うつもりですか?
競合調査はちゃんとしました?
ボデーガ:
え…ECやってる水族館ってもうあるんだ…。
長谷川:
そりゃありますよ。当たり前じゃないですか。やっぱり競合調査してないんですね。
サンシャイン水族館さんもすみだ水族館さんも新江ノ島水族館さんも、人気の他園館は皆さんやっていますよ。
あと、はっきり言ってコンセプトが弱いと言うか無いに等しいですよね。
やりたいことを羅列するだけではダメで、しっかりと方向性を決めないと。
戦略のミスは戦術では取り返せないんですよ。
ボデーガ:
…それは私の調査不足です…。すみません…。
(またボロクソ言ってくる…。やっぱり私がまた輝きたいなんて無理だったのかな…)
長谷川:
(でもまぁ... ECショップは元々視野に入れていたしこれを皮切りにスタートするのは悪くないとも言えるな…。)
長谷川:
…とはいえ、やりたいことの方向性は悪くないんじゃないですか??
ぼくも共感する部分が全く無かった訳ではないので微力ですが手は貸します。
とりあえずECサイトオープンの準備をはじめましょう。
中を詰めていくのはそれからでも遅くはありません。
長谷川:
あとカワスイにはコンサルティング事業部っていう結構好き勝手やっている部署がありましてね。
彼らは自由奔放ですが優秀な方達なのでそことも相性が良さそうですね。
担当者を繋ぐので、次回の打ち合わせまでに競合調査とかコンセプトまわりしっかり固めておいてもらって良いですか?
ボデーガ:
えっ…。
長谷川:
ボデーガさんがやらないようでしたらこちらだけで進めますが。(正直そっちのほうがやりやすいんだよな。諦めるか…!?)
ボデーガ:
いえ!!やります!やらせてください!!
長谷川:
(おっ思ってたよりやる気あるな。)はい。じゃあ取り急ぎ今月中にサイトオープンまで進めてくださいね。
ボデーガ:
よろしくお願いします!頑張ります!!!
(あれ?この社長めちゃ詰めてくると思ったけど実は良い人…?!何はともあれ頑張らないと…!)
こうして2022年9月29日に
カワスイオンラインショップ「BODEGA」が
オープンすることになりました!
変化球なオリジナル商品、トリッキーな品揃えは他の水族館には負けません!
物置きから生まれ変わった新生「BODEGA」、皆さまぜひご利用ください!